メガテン5感想【ネタバレあり】

エンディングを一通りみたので、感想など。いろいろネタバレを含むので、すべてのルートを見ていない人は回避を推奨。


まず第一の感想としては面白かった。戦闘と悪魔合体、サブクエストが楽しい。クエストナビもいいアクセント。
真1からのファンとして、この時代にナンバリングタイトルの新作を出してくれたことに感謝したい。
途中でダレず最後までプレイできる牽引力と、攻略情報を見なくてもノーマルでクリアできる難易度もよかった。

ただ、それだけに残念なところが大変残念である。
個人的に真・女神転生シリーズにシナリオ面で期待しているのは、ジレンマのある選択肢と、それによる衝撃的で皮肉な展開だが、今作にはそうした驚きはなかった。
ルート分岐は最終ダンジョンからで、至高の座のトーナメント表が変わるだけである。なお、主人公が選択した陣営が雑に初戦敗退する。それまで主人公はひたすら受け身で、選択肢も意味があるんだか、ないんだか分からないようなのが多い。
サオリがいじめっ子をどうにかするところは、「止める」「止めない」ぐらいの選択は欲しいし、ラフムとの決戦では、助けようとしたタオもつかまって、「タオを助ける」「サオリを助ける」「二人とも助ける」の3択で「二人とも助ける」を選択した場合だけ二人ともお亡くなりになるとかなって欲しい。各陣営にヒアリングする万魔会談でのルート分岐の構想もあったのではないか。
ラスボスもよくわからない。
至高天の座は「ラー→バアル→デミウルゴス→ルシファー」と遷移してきて、次の至高天の座は誰のものかというのが大まかな流れで、ナホビノ達が知恵(ソピアー、邪教世界?)を武器に相争い、座を占めた主人公が、ルート分岐でなにを選択したかでエンディングが変わる。
競争相手を倒すのはもちろんだが、主人公には前王ルシファーを倒す動機はあっても、事象ルシファーを倒す動機はないように思う。「ルールの中で敵と戦っていたが、真の敵はメタルールだった」というのは創作物でよくある展開だが、今作では至高天の座をめぐるメタルールは特に人類に害悪をもたらしてはいないのではないか。ルシファーがデミウルゴスの再臨を防ぎたいので、メタルールをつぶしたいのはわからないでもない?「私を倒せば、至高天の座で敷いたルールを永遠のものにできる」と誘うルシファーはエデンの蛇か。
(神がルシファーに打倒されているので、法の神は完全ではなく、グノーシス主義的な世界観であると解釈しています)


ここからは憶測だが、今回の分岐は以下のような政治体制の選択をテーマにしていたのかなとは思う。

これが企図するものだったとしたら、ニュートラルルートの敵にリヴァイアサンがいて欲しかった。
もし次があるとしたら、選択肢がジレンマになるようにキャラクター達のストーリーを見せて欲しいし、各ボス(特に魔王城の面々)を倒す動機は流されて所属した組織の上司の命令とかではないものであって欲しい。

戦闘システムについては1つだけ。
ダメージ系の秘石には補正は乗らない方がスキルと差別化できてよかったと思う。

あと、商売の事情があるとは思いますが、目に見えて中途半端な部分があるのに、この値段設定はどうかと。と書いたところで、ソシャゲでガチャを引けば万札があっという間に飛んでいく昨今、万札1枚で100時間以上遊べたのは、コストパフォーマンスがよかったのではないかと思い直しました。でも、Switchで出すんなら、任天堂のマーケットで戦うんだし、やっぱり微妙かなぁ。

 

ちなみに、1周目はノーマル難易度、カオスルート、ミマン全員発見、サブクエは1つを除いてクリアで、98時間。DLCは金稼ぎのみ購入。攻略情報を解禁して、2周目で残っていたサブクエをクリアして分岐前でセーブ、そこから残りの各ルートに分岐して116時間。さすがに1セーブデータで4周する気力はありませんでした。

 

あと、ボス戦のBGMが好き。サントラ早くでないかなぁ(買いました、Battleで始まる20曲。2023-03-31追記)。


【余談】出番とか説明とかが足りないと思う人たち

  • タオ:主人公との関係性がよく分からないまま死亡して女神に転生。何の女神かも不明。デザインはアマテラスを連想させるんだが、カオスルートに肩入れするわけでもなし、座へ導くと言っているので、違うみたい。全書への登録もできるが呼び出せないため、周回すると使った香は無駄になる。戦闘で使わないのであれば枠を圧迫する。強制加入時に戸惑うと「私強いから心配しないで」と言われるのが大変遺憾。
  • アオガミ:スサノオの神造魔人で基本的に控えめ。ツクヨミが作ったとのことで、乱暴な性格が従順に書き換えられているのかもしれない。
  • ハヤタロウ:主人公のレベルが70台のときに40台で加入。ベンチウォーマーにもならない。プレイ前動画でわくわくした気持ちを返して欲しい。そういえば一度も戦闘に出さなかった。
  • アマノザコ:出番が足りないってわけじゃないんだが、仲魔になった後もクエストナビに選択できるようにして欲しかった。しかし、鍵獲得時のお告げは謎。
  • メガネ:「東京を守る」主張を繰り返す人。正直、クエストナビの方が親近感がある。
  • ミヤズ:初っ端で先輩をパシらせようとする後輩。せめて同行するとかじゃない?身体が弱いから仕方ないのか。プレイ前はヒロインを選択できるのならこの娘にしようと思っていたが、そんな機会は訪れなかった。
  • ヤクモ:個人的体験で世界を裁こうとする人。警官の装いは自負の表れか(と思っていたが、もしかして職業警察官か?)。作中ではこの人の主張に賛同するのは心理的に難しいが、否定的な反応をするとすごい糾弾してくる。東京消滅の再発防止をスローガンに掲げてくれれば、まだ賛同が得やすかったような気も。